IPOのその先へ。挑戦を支えたのは、EOの仲間だった
成長の渇望と、志を育てる場所としてのEO
BABY JOB株式会社 代表取締役 上野公嗣(うえの こうじ)さん
「2020年、新規事業のおむつサブスクへのピボット」──混乱の中、決断できた理由
2020年。BABY JOBは大きな転機を迎えていた。
当時は保育士の人材紹介を主な事業としていたが、2019年に新しく立ち上げた保育施設向け紙おむつとおしりふきのサブスク「手ぶら登園」に大きな可能性を感じ、思い切って方向転換を決断。
しかしサービスを始めて1年経たずに、新型コロナウイルスの感染拡大が始まり、保育施設の休園も相次いだ。社会全体が不安に包まれ、先行きが見えない中での船出になった。
そんな中で、資金調達にも挑戦した。それまでは銀行借入だけで運営してきたが、エクイティで1.3億円を調達。人材採用や広告投資などに踏み切った。
もちろん、すぐに成果が出る訳もなく苦悩する日々。
それでも上野さんは、「現場から届くリアルな声を聞いていると、このサービスはきっと芽が出る」と感じていた。
迷いながらも、新規事業へのピボットを決断し、資金調達にもチャレンジができた背景には、同じように挑戦を続けるEOの仲間たちの存在があった──と、上野さんは振り返る。
「孤独な経営」の中で出会った、志を高めてくれるEOとの出会い
BABY JOBの前身となる株式会社S・S・Mを2012年に創業し、運よく保育所を連続で開園。一定の成果を出すことができ、どこか満足感もあった。
「でも、関西を中心とした経営者の集まりである秀吉会で出会った人たちは、もっと大きな会社を経営していて、しかも『まだまだ成長したい』と強く渇望していたんです。自分が感じていた“満足感”が、急に恥ずかしく思えてきたんですよね。」
その後、「Booming!(アクセラレータープログラム)」や「RISING!(スタートアップ発展支援プロジェクト)」といったEOの成長支援プログラムにも参加。志を同じくする経営者たちとの出会いが重なり、自然とEOへとつながっていった。
「この仲間たちとなら、もっと上を目指せる。そう思えたんです。」
上場と成長の裏に、EOと仲間の存在
BABY JOBは2024年に上場を果たした。
その背景には、長きにわたる上場準備と、EOでの学びがあった。
「手ぶら登園」へのピボット以降、売上は急拡大。22年2月期と比べて、25年2月期の売上は4倍以上にまで伸びた。組織もそれにあわせてスケールした。
もちろん、すべてが順調だったわけではない。一時は売上が伸び悩む時期や組織に悩むこともあった。それでも成長にコミットし続けられたのは、EOで得た視点と、共に走る仲間たちの存在があったからだ。
「組織は壊れる。だから、フォーラムで経営者の人間力を磨いた。」
売上を2倍以上に成長させる──
それは同時に、組織が一度壊れる可能性を意味した。
「実際、売上を2倍に拡大すると、どこかで組織にガタがくるんです。
その時、自分がどう立ち振る舞うのか。どんな信念を持って判断していくのか。
人間力の問われる局面が、何度もやってくる。」
EOには、少人数で継続的に集う「フォーラム」という制度がある。
原則としてアドバイスは禁止され、あくまで自分自身の経験を共有し合うことで、互いに学び合う仕組み。ここで得られるのは、知識よりも自分自身と深く向き合う時間だ。
EOのフォーラムを通じて、“経営の渦中にある自分”と向き合った。仲間たちとの対話を通じて、自分自身を深く掘り下げた。
そのなかで気づいたのは、どれだけ従業員にリスペクトを持てているか、対等な関係で向き合えているか、そしてその人の専門性を引き出せているか。
フォーラムでは、そうした“内面的な成長”を何度も経験し、人間力が磨かれた。
フォーラムという「人生の定点観測」
「EOの仲間は、友達じゃない。仲間なんです。」
横並びでなんとなく近況を話すような友達ではない。
それぞれが「成長したい」という共通の目的を持ち、共に全力で走る仲間。
その中でも15年続くエッジフォーラムは、上野さんにとっては「仲間でも家族でもない、特殊な存在」だと語る。
「家族よりも、僕の人生を知ってくれていると思う。
ビジネスもプライベートも、感情の浮き沈みも、全部。
誰よりも僕を客観視してくれて、信じてくれる存在。」
あるとき、エッジフォーラムメンバーと「幸せとは何か?」をテーマに語り合った際、一人が放った言葉が、上野さんの胸を強く打った。
「朝目覚めた時に、今日という1日にワクワクする。
夜眠る時に、今日会った人たちに感謝して眠る。
それが幸せだと思う。」
「これを聞いたとき、どこで死んでも“やりきれなかった人生”なんて思わなくていいって思えたんです。成長ジャンキーな自分でも、日々の幸せを積み重ねていけばいい。そう思えたことで、挑戦することが怖くなくなったんです。」
IPO準備、その舞台裏にあった“2つのフォーラム”
上野さんは「エッジフォーラム」に加えて、目的に応じて参加できる「myEOフォーラム」にも参加し、IPOを目指す経営者たちと「IPO準備フォーラム」を組んだ。
ここでは通常のフォーラムとは異なり、具体的なノウハウや失敗談が惜しみなく共有された。「証券会社や監査法人の方からの情報提供だけでは得られないリアルな情報もあり、意思決定の精度が格段に上がった」と上野さんは語る。
大きな失敗も経験したが、そのとき支えてくれたのもエッジフォーラムの仲間たちだった。
「感情を分解して置いて帰れる場所があった。寄り添ってくれる人がいた。
それが一番の支えだった。」
上場しても、EOは続く。仲間と描く、次の未来へ
IPOは、あくまでも通過点。
「IPOしても『絶対に喜ばない』と自分に言い聞かせていた。
ここがゴールじゃないと思っていたから、すぐに次の成長戦略を描くことができた。
上場を果たしても、EOにはさらに先を走る経営者たちがいる。
その背中を見ているからこそ、 3年後、5年後に自分がどう在るべきかの「未来像」を、自然と描ける。
EOに入っていなかったら、描けていた未来はきっと違っていたと思います。」
「志を育てたいなら、迷わず飛び込めばいい」
今、EOに興味を持ちつつも、参加を迷っている人に向けて、上野さんはこう語る。
「EOは、メンバー自身がコンテンツなんです。
月例会やフォーラムに一度参加してみれば、空気でわかる。
迷ったら、とにかく飛び込んだ方がいい。」
EOは、志を育てる場所。
フォーラムは、自分自身の人生を定点観測してくれる場所。
そこで得られる視点や問いかけが、やがて「確信」と「自信」として、自分の中に根を張っていく。
「今の僕は、個人・仕事・家族が完全に360度つながっている。
どんな未来を描きたいかも、はっきり見えている。
だから、迷いなく進めるんです。」
上場を果たしても、挑戦は終わらない。
次の未来を描きながら、仲間とともに走り続けていく。
その眼差しの先には、また新たなステージが広がっている。
BABY JOB株式会社 代表取締役 上野公嗣さん(うえの こうじ)/EOネーム:こうちゃん
「すべての人が子育てを楽しいと思える社会」をビジョンに掲げ、保育施設向け紙おむつのサブスク「手ぶら登園」をはじめとした保育施設向けの支援事業と子育て支援サービスを展開。
編集後記
こうちゃんへのインタビューは、まさに“人と志”を感じる時間でした。
言葉の端々からにじみ出る「まっすぐさ」と「覚悟」。
上場というマイルストーンを越えてなお、挑戦を止めない姿勢の中に見えたのは、困難を乗り越えてきた経営者としての胆力と、仲間を思い、感謝の言葉を忘れない誠実さ。そのどちらもが、こうちゃんの魅力であり、EOの空気そのものでした。
EOのフォーラムを「自分よりも自分を知ってくれている場所」と表現したこうちゃん。
誰にも相談できなかった頃から、今や「どんな未来も描ける」と語るまでに成長したその背景には、仲間の存在と、EOという場の力が確かにありました。
どこまでいっても「成長の過程」にあるのがEOの仲間たち。
その一人ひとりが、誰かにとっての「背中」になっている。
こうちゃんのお話から、改めてEOの価値を感じました。
株式会社ハグオール 代表取締役
EOネーム:かじちゃん(梶谷江世)



